冬場の住宅結露対策(11)
(2018年02月23日)今回は、冬場の住宅結露対策シリーズの最終回です。
このブログ講座シリーズを読んでいただいていた皆様、少しはお役に立てたでしょうか?
基本的にできるだけ専門用語を使わずに書いたつもりですが、社内の事務方女性スタッフからは「まだ難しい!」というご意見もちやほらありましたが・・・。
今日は、表面結露という住宅の部屋の中で起こる結露の対策についての話です。
表面結露とは読んで字のごとし、“壁、家具、ガラスなどの、室内側表面で起きる結露”の事を指します。
この結露の代表的な現象が、冬場における窓ガラスの水滴です。
複層ガラスのサッシに替わってからは、通常の生活ではこのような水滴はあまり見かけることはなくなりましたが、複層ガラスが主流になる前、つまり20数年前の住宅では、まだ単層サッシが多く使用されていたので、この現象をよく見かけたのではないか思います。
これまでの講座を読んでいただいた皆様にはすでにお解りいただけていると思いますが、結露という現象は、温められて湿気を含んだ空気が冷たいものに触れると起こる現象です。
そもそも断熱機能を持っていないガラスは、冷たい外気と同じ温度となり、その結果、結露が生じます。
そんな悩みを解決してくれたのが、複層ガラスサッシです。
ガラスとガラスの間にガスを封入して空気層を設ける事によって、その空気層が断熱材の役割を果たし、ガラス表面の露点温度を上げて、結露を防いでいます。
ガスが注入されていない複層ガラスでは、ガラス間の空気が露点温度より下がるとその中で結露が発生し、ガラス内部でくもってしまいます。
では、ガラスの他、どんなところで表面結露は起こるのでしょうか?また、その対策は?
これらについて簡単にご説明いたします。まず、壁の中に断熱施工が施されていることが前提です。
上図のように、暖房された部屋では、部屋の空気の他、壁などの建材部分も、空気の対流や輻射の影響を受けてあたためられます。
しかし、対流の起こりにくい隅部や家具の裏では、同じ室内でも温度差が生じ、そこに表面結露が起きてしまいす。
その対策として、天井扇(シーリングファン)や換気扇を利用し、空気の対流をまんべんなく行うことで、これらの現象から解放されます。
また、一度あたたまった壁は、暖房を切った後でも輻射熱(電気ヒーターの様な熱)を放出するので、表面結露の防止に一役かっています。
よって、家具を壁ぴったりに置くと、家具の裏は輻射の温厚がありつつも空気の対流を受けない環境となるので、結露が起きやすくなります。
冬場の結露対策(1)でご説明したように、壁との隙間を5㎝ほど取っていただくことで、この問題は解消します。
ちなみに、表面結露が問題となるのは、実は夏場や梅雨時なのです。
逆転結露といって、水蒸気を多量に含んだ30℃以上の外気が、冷房された室内に流入した時に起きる現象です。
この時期に、壁紙がなんとなくベトベトした感じになるのは、これが理由です。
除湿をしない冷房運転のみで続けると、この現象が顕著に出ます。
ですから除湿冷房運転を強くお勧めいたします。
また外気と室温の差を5℃以下に抑える事も、表面結露対策となります。
換気は、室内環境にとって非常に重要なことです。
しかし、夏場の換気は逆転結露により、カビや悪玉菌の発生を促すことになりかねますので、じゅうぶんご注意下さい。
なお、このような表面結露対策には、弊社が推進するFFC処理された壁紙が、とても有効です。
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